握り寿司
握り寿司の自作はイメージとは逆で障壁が低く、数回練習すれば2000円程度で高級店と同じ味を楽しむ事ができる。大幅に節約もでき、休日の集まりでも盛り上げることができるので、是非参考にしてほしい。
握り寿司製作に必要な物
コメ2合(古米が良いとされるが新米で良い)、ワサビ、[しょうが]、[ニンニク]、木製しゃもじ、[木製飯台]、炊飯器(2個あっても良い)、[バーナー]
刺身用魚、[柳葉包丁]、ビニール手袋、米酢50ml、砂糖20ml、塩4ml。
計量カップ、布巾数枚or大量のクッキングペーパー、[ビニール製ラップ]、[タイマー]
丸の魚(完全な状態)を捌くことは煩雑なので、慣れないうちは刺身用のサク(ブロック)や刺身を買って握りのネタにすると楽
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飯台が案外手に入らず、持って帰るのも目立つので記載しておく↑リンク
シャリの上にかける布巾だが思いの外適切な品が無く困ったため、こちらも記載しておく↑手元に布巾がない場合は濡らしたクッキングペーパーで代用しても一応いける。
刺身の旨さランキング
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-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------S:サバ(生)、大型本鮪(国産)、クエ、白甘鯛
A:マカワハギ(肝醤油)、車エビ(煮)、赤甘鯛(炙り)、カレイ、ウニ、アワビ
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B:大型本鮪(地中海産)、コノシロ(生)、石鯛、ヒラメ 、スミイカ、アオリイカ、ハタ系(アオハタ、キジハタ)、
C:マイワシ、カツオ系(生)、大型アジ、カンパチ、スズキ、ウマヅラハギ(肝醤油)、金目鯛、ボタンエビ、甘エビ
メジナ、サヨリ、サバ(酢締め)、イクラ、筋子、タチウオ、キス、マダイ、サザエ、国産牛肉(レア)、べったら漬け(大根)
D:小アジ、ウスバハギ、小エビ(煮)、ハマチ、北欧鮭
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E:イカ系(ヤリ、水、スルメ)、鮪系(ビンナガ、キハダ、コシナガ[幼魚])、南米産エビ
F(海域次第):ボラ、タイ系(ヘダイ、チダイ、チヌ)
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赤:握り寿司向き、橙:費用対効果が良い、緑:健康に悪いという説有り
最も美味とされる白身魚クエ↓
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握り寿司に向くのは赤身や脂身の多い魚である。ただ白身や淡白な魚もメニューに無いと飽きてくる。
生のボタンエビや甘エビ(下記画像↓)はシャリとの相性が意外に悪い。
一応美味しいが友人に振舞うとあまりガチなのが甘海老。
全てのネタの中で最も原価が高いネタが車海老↓
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高級店では生も焼きも出してくれる、調理もかなり簡単↑北欧産鮭は美味だが脂肪にダイオキシンを蓄積してるという報告も。
大型の魚には水銀が多く含まれる為、女性が摂取すると胎盤に水銀が蓄積するという説がある。
費用対効果が良い握り:バーナーで炙った甘鯛、海外産本鮪、生のコノシロ、カワハギ系(肝醤油)、べったら漬け
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↑ガスバーナーは1年以上使用でき、かなり高コスパ、最も買ってよかった物品。特に脂身のネタの場合、同じ魚でも2つの味が楽しめる。
焼肉にも使えるが、ホットプレートが痛むこともあり、
木のまな板の上で使用するのが望ましい(まな板が焦げる欠点あり)。
握りの手順
1.コメを研ぐ 1回目は数回かき混ぜたらすぐ水を捨てる(理由:汚れを含む為)とぎ汁が透明になるまで4回程度「研ぐ→水を捨てる」操作を繰り返す。
研ぐ時はジャンケンのチョキを握り込む形でコメの中を円を描くように研ぐ
2.炊飯(水量は寿司用の少ない目盛に合わせる)
45分程度で炊けるので、コメが炊けたら5分以内に寿司酢を混ぜることが最大の要所
(実はここで時間を破るとシャリがスポンジ状になる為、予め炊ける時間を調べ、タイマーをセットしておく)
3.寿司酢を作るために、米酢50mlに砂糖20mlと塩4mlを入れ混ぜる(砂糖はお好みで減らしても良い)
炊飯器内でシャリに寿司酢を混ぜる(直ぐには溶けないので早い段階で作って置いておく)
寿司酢の配合が煩雑であれば予め寿司酢を購入しても良い。
↓日本一ハイレベルと言われるすきやばし次郎の寿司酢↓
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4.飯台に混ぜたシャリを優しく取り出し、しゃもじの根元に近い部分を持ち、シャリを切っていく。
5.1周したら、コメを飯台に満遍なく広げる、団扇で軽く全体を煽ぐ、
しゃもじでシャリを裏返しもう一度全体を煽ぐ、その後保温した炊飯器にシャリを戻す。
保湿の為、濡らした布巾かクッキングペーパーをシャリに被せておく。
(炊けた後から90分後に食べるのが美味とされる、
実際は炊けた直後でも4〜7時間後でも一応食べられるが多少風味は劣る)
6.柳葉包丁でサクを奥から手前に引くように薄く切る。(柳葉は水気を取らないと数分で錆びる)
上側から下側に向けては斜めに切る
7.ワサビをお皿に塗っておき、シャリをひとつまみ右手で取る
8.左手の中指と薬指の付け根と第二関節の間にシャリを置く
9.左手で握り込むと同時に右手人差し指と中指を揃えて上から抑える
(左手は軽く握る、右手に力は入れず添えるだけ)
10.右手でシャリを掴んでシャリを180度回転させる。
11.9→10の手順を1回行う。まとまりが悪ければ2回行う。
12.完成、食べる時は箸の左側でシャリを右側でネタ(魚)を挟み、左側(ネタ)を下にして醤油につける
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注意
3回目ぐらい練習すれば形になってくる15回程度で手順の致命的なミスがなくなる
↑微妙に慣れてきた頃のべったら漬け握り。
30回程度でシャリの切り方が分かってくる
100回程度作ってもプロのように白身のサクを綺麗に薄く切ること、砂糖塩の加減は難しい
(友人以外だと握り寿司の見栄えが悪い場合(鯛系等)嫌がられる)
道具について
飯台やしゃもじは木製が望ましいがプラ製でも可能木製の飯台を洗剤で洗う場合は、洗剤が落ちにくい為、
かなり入念に水洗いしたい。(水を下側から桶に吹き上げても良い)
手袋を使う場合と素手で握る場合では手の感触がかなり違うので、人前に出すときは注意。
汁物と合わせると寿司が食べやすい。(味噌汁でも可)
青魚(サバ、アジ等)は購入後早めに食べた方が良い。サワラは1日-2日寝かせても美味しい。
白身魚(タイ、ヒラメ、スズキ、石鯛等)は消費期限の一日前程度まで置いて食べた方がいいが、
白身の食べ頃の計算は複数回購入して食べてみなければ難しい。
寿司に合うワインについて
白身魚にはシャルドネ(白ワイン)、赤身や牛肉にはピノノワール(赤ワイン)が合うとの情報があり、伊仏産のワインを探して試してみたが舌をフレッシュにできる感覚はあった。
ただ、筆者は普段酒を飲まないため、魚とワインの相性の判別が困難であった。
軍艦巻きについて
簡易的な軍艦巻きであれば家庭でも十分作れる。1.シャリ玉を作っておく。
2.味付け海苔を水でくっつける。
3.ゆびに水滴を付けておき、シャリ玉をくっつけた海苔で巻く。
4.つなぎ目に水滴を塗り、海苔を接続する。
(少し難しい)
5.ネタをシャリ玉の上に載せる。
マグロについて
冬の青森の大間の一本釣りのマグロが最も脂の乗り、匂いが良いと言われるが、季節によってどこの産地が美味しいかは違う。味は食べているエサにも依存する。
海外産より国内産が良いとされ200kg超の大型の個体が美味とされている。(逆に鯛は大型だと味が落ちる)
クロマグロ、ミナミマグロ(インドマグロ)以外のキハダやビンナガ等はかなり味が落ちる。
マグロは筋が柔らかくなるタイミングを狙って寝かせて熟成させる(腐る寸前の状態)状態にするのが職人の技術である。
築地のフジタ水産、石司と言うマグロ専門の有名仲卸を次郎、
水谷など有名店がこぞって仕入れに使っている。
マグロの出来で鮨屋の格が決まると言われるが、
実際は店の技術力よりは人脈や経済力がマグロの仕入れに現れる。
ご家庭で作っても店のモノとクオリティの差はほとんど無い。
技術的に難しいのはコハダやタコ、穴子である。
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↑最も美味とされる赤身:青森県大間産の大型のクロマグロ。東京の高級寿司店
寿司は江戸時代の東京の文化であり、近代に大阪に渡った寿司職人が広めた。また、江戸時代ではシャケは冷凍保存が必要だったため、
冷凍をしない東京の高級店では冷凍のイメージが付いたシャケを出すのを避ける。
テレビで取り上げられたり、財界人に人気になるかどうかは職人のスター性に依存しており、
必ずしも職人の腕、寿司の味を保証するものではない。(逆に言えばハッタリが効きやすい)
ただ、何十年も理不尽な修行をこなしただけあって総じて職人の所作は洗練されている。
特に握る時の所作、包丁捌きには経験年数が現れやすい。
また久兵衛のような大規模は店だと予約が取りづらく、
店主に握ってもらう確率はかなり低いようである。
現在Youtubeで見ることができる寿司屋の評判を調べてみた。
また、鮨屋は客商売ではあるが客にとって高級寿司屋にくることがステータスであるため、高級店が客を選ぶ側面が強い。
久兵衛は味が職人によってはブレて外人や団体の客層が多いとの記述がある。(食べログ:3.7)
鮨青木は超有名店で活躍した職人が開業し、
今は二代目が店主だが高圧的で常連贔屓だと言うレビューが多い。(食べログ:3.76)
青木は西麻布に支店を出していたが会計は4万弱で若手が握った場合はシャリとネタのバランスが悪く値段に見合わないとコメントがある。
日本一評価が高いとされるすきやばし次郎でさえ職人が威圧的で値段に見合わない
[15分で最低3万円以上、接客無しでひたすら寿司を食べさせられる。]とのコメントが多い。(食べログ評価:4.23)
1.次郎氏は案外優しいが、客が店のブランドに圧倒され、楽しめず、悪評をばら撒くようである。
2.閉店したが、次郎の弟子である鮨水谷も有名である。[食べログ4.23]
3.伝説の鮨職人、藤本繁蔵氏や新津武昭氏などが在籍したきよ田は現在でも好評価のレビューが多い。(食べログ評価:4.20)
ただ新津武昭氏は藤本氏の薫陶を受けたかどうかは時系列的に怪しく、
修行も一週間しかしていないと言っている。本人は酢も魚も食べないらしい。
新津氏の築地で一番良いマグロを仕入れ、客にネタを選択させない(おまかせ5万円)、
電話の受け答えで九割の客を断ると言う強気営業が財界人にウケて有名になったと言う説もある。
新津氏の弟子を自称する荒木水都弘氏のあら輝は一見さんが入りづらく、
味や江戸前の仕込みがイマイチだと言うレビューが多い。(食べログ評価:3.5)
実際に新津氏の元で修行したわけでもなく、仕込みを見せてもらっていただけだと言う記述もある。
ドキュメンタリー番組で新津氏が荒木氏の店に訪れて完成品の寿司の味を否定をする場面する場面もあった。
4.さわ田は写真禁止、複数客お断りで6席しかないカウンターだが物腰が柔らかく評価が高いとのこと。(食べログ:4.56)
5.きよ田出身の増田勇氏の銀座の店は評価がかなり高い。
江戸前に拘っており、築地の魚に納得できないと店の営業をキャンセルしてしまう。
北新地(大阪)の土日営業を行っていたが(現在閉店)、ネット上では品数が少ない、
シャリが合わない、増田氏が喋りすぎなど関西人の文句が多い。
海外の寿司店
日本の職人が腕や集客に自信が無く、海外に出店したパターンが多いようである。社交性の高い職人はアメリカではウケがいいようである。
アメリカには寿司屋はある程度たくさんあるが、銀座の職人の接客はアメリカでは通用しにくいとのこと。
また日系資本より外資系寿司屋の方が労働条件はかなり良いようである。
海外は冷凍技術が悪く仕入れが難しく、労働者の交渉も激しい(怠け者が多い)ため職人の採用に困る場合が多い。
オーストラリア、キューバ、ポーランド等では中韓人や現地人が見様見真似で怪しい鮨を作っていることも多い。
海外だと香港の寿司が一番美味しいと言われる。
寿司専門学校卒の店
手際にこなれた様子があまりない、シャリの大きさが不揃い、髪を触ったあとでシャリを握るなど手順ミスもあるようである。
修行を3ヶ月〜1年程度しか行っていないため魚の目利きや本手返しのような技術はない。
3000円程度で仕込みがなされた寿司を食べられるのでコスパはミシュランにも評価されている。
(高級店としての評価ではない)
シャリの塩の量の調整
魚種によって最適な米や酢の種類、塩砂糖の量は変わる。久兵衛ではシャリに砂糖は使わない。
寿司屋によってシャリの酢や塩の量でマグロに合わせるか白身に合わせるか決めている。
取れる魚の地域によってもスタイルが違う。
関西(白身の小魚)と東京(マグロ)ではシャリの味はかなり違うので職人が移籍した際にトラブルが起こることがある。
職人の技量が出るネタ
コハダ、シンコ:脂分によって塩分と調整する。酢に漬ける時間の判断が難しい。穴子、タコ、ハマグリ:柔らかく煮る、出汁と醤油の配合や綺麗に捌くことが難しい。煮詰め(ソース)の精製に技量が出る。
イカ:皮を綺麗にとる、ゲソを綺麗に切るのが少し難しい。ヤリイカは難しく、スミイカは多少楽。
イカと合わない醤油もあるため、塩やすだちと合わせる等工夫が必要。
玉子:形が崩れやすい、溶き方が不十分だと白身がまだら模様になりやすい。
店のベテランはやる業務ではないが、店内の若手の質がわかる。シャリとのマッチングも難しい。
甘鯛:基本美味だが、身が柔らかく切りにくい、炙る等ひと工夫必要。赤甘鯛も美味だが、白甘鯛が最も高級とされる。
タイ、スズキ:個体差が大きく、目利きや寝かす時間の見極めが難しい。
マグロ(赤身):鮮度が悪いと変色したり臭いが出てしまう。
ヅケにする場合は身によって醤油ダレに漬ける時間の調整が必要。
マグロ(カマシタ):脂の多い腹身の中でも最も美味しい。仕入れが難しく、
身が柔らかくなるまで寝かせる時間の判断も難しい。店の持つ経済力、仲買からの信用力が影響する。
地域次第では食べられるネタ
生サバ:鮮度が重要、九州以外では寄生虫が筋肉にいるため生で食べにくい。関アジ:かなり独特な味、大分近辺では鮮度が良い関アジ、関サバが食べられる。
ウニ:長崎など特定の地域では特に美味。
クエ:福岡だと標準的な値段だが、東京では異常な高値。
穴子:東京湾のものが美味しいとの説もあるが、他の地域でも問題ない。
店によってサイズにこだわりがある。
(15cmが骨が細いから良いor大型が脂がのって良い等)
シャケ、イクラ(天然):天然の国産シャケは西日本だと流通していない。
また、東京の高級店はブランディングの問題でシャケを店に置かない。札幌の鮨屋だと食べられる。
魚の肝:産地の近くで無いと鮮度の問題で生で食べられない。
ボラ:東シナ海など綺麗な海域で取れたボラは美味。
牛のレバーは食べられないが馬レバーは現在でも食べられる。↓
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職人が出したがらないネタ
ウニ:原価が高く利益が出ない。コハダ、シンコ:手間がかかるが、一般的に安価なイメージが浸透している。
そのため店側は高値を付けづらく人件費がかさみ利益が出ない。
マグロ(トロ):大トロは腹身の脂の多い部分。マグロで店の格が決まるので赤字覚悟で出していることも。
店の経済力、仲買からの人望のバロメータである。脂が多く、職人の技量が味に反映されにくい。
ノドグロ、キンキ:油が多く技量が出にくいため、邪道とされる。
軍艦:久兵衛の先代が開発したネタ。歴史が無い。
シャケ:江戸時代は寄生虫や輸送時間の関係で生で食べる習慣が無かった。
冷凍、海外のイメージがあり、少なくとも東京では邪道。
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